長期投資をしていると「アセットアロケーション」「ポートフォリオ」という言葉よく耳にするようになります。
何となく資産を円グラフにして割合を表示するようなもの、というところまではイメージできている人も多いと思いますが、シロウト投資家の中では実際それがどのような意味で使われいるのか、そして各々の重要性を理解している人は少ないのが現状です。
今回はアセットアロケーションとポートフォリオの理解と実際の扱い方までをお伝えします。
目次
アセットアローケションとは
アセット(資産)+アロケーション(配分)=アセットアロケーション(資産配分)
元々、アセットアロケーションとは「資産配分」いう語源を持ちます。
つまり、私たちの資金を運用する際にどのような資産にどれくらいの割合で振り分けていくかということを決めていくことを意味します。

【図(1)】
図(1)では、「外国株式(25%)」「外国債券(25%)」「REIT(25%)」「金(25%)」と配分がされています。
この割合分配もアセットアロケーションと言えるのですが、実際運用する際にはもう少し具体的にアセットアロケーションを組む必要があります。

【図(2)】
図(2)では、図(1)のアセットアロケーションをさらに詳細にしてあります。
実際に長期投資をする際にはここまで資産配分を落とし込んでアセットアロケーションを行っていき、投資方針を決めていく必要があります。

ミク
なぜ細かいアセットアロケーションが必要なのですか?
実際の投資では、外国債券といっても多くの投資対象が存在するんだ。その投資対象によってリスクもリターンも異なってくるから、それをできる限り把握するために詳細なアセットアロケーションを考える必要があるんだよ。

マッケイ
アセットアロケーション運用とは
ここ数年で「アセットアロケーション運用」「アロケーション運用」「マルチアセット運用」などという言葉が出てきました。
アクティブ運用型投資信託でしばしば登場するこれらの言葉には形式的な定義はありません。
しかし、敢えて日本語に訳すと「戦略的(機動的)資産配分運用」というイメージで使われていることが多いです。

従来の分散投資は、初期の資産配分(例:外国株式50%、外国債券50% etc)の割合は基本的に変えずに運用を行っていくものが多く、市場暴落時においてもこの割合は変えない運用手法が多かったのです。
一方、アセットアロケーション運用では経済情勢を勘案しながら割合の変更に少し自由度を効かせた運用をしていきます。
機械的な分散ではなく、マーケットに情勢に応じて運用の最適化を行うことで、分散しながらもより高いパフォーマンスを出していこうとする運用手法になります。
アセットアロケーションが重要な理由
アセットアロケーションは長期投資の土台となる部分です。その前に、長期投資のベースとなる考え方を確認しなければいけません。
長期投資とは
市場全体が成長する大きな波に追随することで資産形成をしていく投資手法
長期投資とは、長期的に運用することではありません。
市場全体を捉えてその成長曲線に追随させるように資産を増やしていく方法です。
市場全体を捉えるにはそれなりの時間が必要なので、結果長期投資にならざるを得ないので長期投資と呼んでいるだけの話です。
そのため市場全体を捉える上では幅広な投資対象に投資をする必要があり、不確実性の高い市場の中で長期に渡り資産をコントロールしながら増やしていくために資産配分が最も重要な鍵を握るのです。
ポートフォリオとは
アセットアロケーションを行うことで、資産配分が決まります。
この段階で長期投資における準備のほぼ8割は終わっていると言っても過言ではありませんが、続いて決定した資産配分を具体的にどのような銘柄で運用していくのかを決めなければなりません。
この具体的な銘柄選定を「ポートフォリオ」と呼びます。

ポートフォリオはどのように決めるのか
外国債券と言っても様々な対象ファンドがあります。
特に最近はインデックス投資信託が爆発的に増えたことでポートフォリオを作成するに当たって何が良いのか迷ってしまう方も多いと思います。
シロウト投資家がポートフォリオ作成する上でポイントとする点は2点です。
投資信託選定ポイント
・全てインデックスファンドを選択する
・各資産クラスで最も信託報酬の割安なファンドを選択する
ある程度知見のある投資家であれば、アセットアロケーションにおける外国株式をS&P500のような特定の国のインデックスに焦点を当てる方法も手ですが、シロウト投資家であれば「全世界株式インデックスファンド」など、インデックスファンドの中でもより幅の効かせたファンドを選択することをお勧めします。
バランスファンドによるアセットアロケーションの難しさ
アセットアロケーションやポートフォリオの作成は時間や手間がかかり、資産運用に時間をかけたくない投資家やシロウト投資家にとっては少々手をつけにくいところもあります。
バランスファンドは予めアセットアロケーションやポートフォリオを組んで運用するので、銘柄を選定することなくオールインワンで運用ができる優れものです。
しかし、バランスファンドには長期投資におけるでデメリットも存在します。
メリット
①アセットアロケーションやポートフォリオ作成済みで手間がかからない
②ファンド内でプロがリバランスをしてくれる
③リバランスによる追加投資や売却が必要ない
デメリット
①信託報酬が割高
②自身の裁量でアセットアロケーション変更ができない
③資産構成の全体観を把握しづらい
リバランスの概要や方法ついては以下の記事を確認してください。
バランスファンドのデメリット
バランスファンド最大のデメリットは、①と②です。長期投資をしていると、どこかのタイミングで株や債券の暴落や暴騰に必ず出会います。
バランスファンドは各資産がパッケージ化されているので、各資産の騰落率が把握しづらく機動的なアセットアロケーション運用ができない点があります。

上記の図は、間違ったアセットアロケーションの組み方です。
8資産バランスファンドという資産はなく、バランスファンドをアセットアロケーションに落とし込む場合には、資産構成を分解してグラフに落とし込まなければいけません。
これでは、例えば海外REITが資産全体の何%の割合になっているのかをパッと把握することが困難です。
このように、バランスファンドを組み合わせてしまうことで資産構成の全体観が見えなくなり、イメージとは異なるアセットアロケーションになってしまう可能性もあります。
まとめ
長期運用においてはアセットアロケーションは土台となるものであって、ポートフォリオはその土台の上に肉付けをしていく作業であることを理解頂けたと思います。
バランスファンドは取り組みやすい反面、資産構成の把握が難しくなり、信託報酬も割高になりがちなので、自身で資産構成を把握しながら運用の最適化をしたいのであれば、多少面倒でも「 Myアセットポートフォリオ」を作成することをオススメします。
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