現在マンション価額の高止まりが続いており、今まではマンションの購入を躊躇されていた方も多い中、そろそろマンション価格もピークアウトを迎え数年後にマンション購入を検討され始めた方も多いのではないでしょうか。
マンションは購入派か賃貸派では意見が別れ、個人的には正直どちらが良いということもありませんが、当然賃貸派は賃貸をオススメする論調になりますし、購入派は購入を勧めるような論調になってしまうので、今回はできる限り中立的な立場で「賃貸vs購入」を考察してみたいと思います。(ちなみにマッケイは、買いたいなと思っている賃貸派)
イメージをつかむために金額はざっくりと計算しておりますので、読み物としてお楽しみください。
目次
モデルケース① 40歳でマンションを購入したAさんの場合
・年齢40歳(都内在住)
・妻子の3人家族
・貯金1500万円
・年収800万円(会社員)
・6000万円マンション購入(頭金:500万円、諸経費180万円 ※購入価額の3%相当、管理費修繕費平均:3万円/月、金利0.6% ※変動利率・35年一定、固定資産税年平均12万×35年)
マンション購入費用 |
6000万円 |
利息 |
601万円 |
購入時諸経費 |
180万円 |
管理費修繕費 |
105万円 |
固定資産税 |
420万円 |
住宅ローン減税 |
-400万円 |
計 |
6906万円 |
モデルケース② ずっと賃貸マンション住まいのBさんの場合
・年齢40歳(都内在住)
・妻子の3人家族
・貯金1500万円
・年収800万円(会社員)
・家賃15万円の賃貸マンションに家族で居住
【35年分家賃総額】
15万円*35年=5250万円
購入派と賃貸派の住居費結果
住居費の総支出のみで見ると、想定通りではありますが、賃貸の方が1500万円以上お得という結果になりました。
利息負担が計600万円であることを考えると、Aさんは不確定要素の強い運用よりも繰上げ返済の方が経済合理性があると考え、今後貯金額は繰上げ返済にまわりそうです。
ただ、このままいけば、44年後くらいから徐々に総住居費がイコールになりそうです。
現在の平均寿命である84歳まで住んで、同程度の住居費総額になる計算です。
ライフスタイルには、個々無限のパターンが存在しますので、まずは現状のライフスタイルと、将来のライフスタイルを想定すべきでしょう。
想定パターン一例
・Bさんが転勤族で会社から家賃補助が出ている方であれば、さらに家賃総額は小さくなりAさんとの差は大きくなる。
・Bさんが35年間家賃15万円の家に住むかというとそれも現実的ではないかも知れない。子供が独立したらもう少し手狭なマンションに住み替る可能性もある。その場合はさらにAさんとの差は大きくなる。
・Aさんのマンションは資産なので、将来的にうまく売却できればBさんとの住居費の差が埋まる可能性もある。
・毎月同程度の住居費を払うのであれば、Aさんの方が素敵な部屋に住めるかも知れない。
・Aさんの購入年齢が早ければ、総居住費用は若干縮まる。
将来の預貯金・投資資金の動きはどのようになるか
AさんとBさんでは将来的な貯蓄額も大きく異なることが想定されます。
ここでは、資産額がどのような動きになるのかを見ていきましょう。
両方ともハイパフォ投資家であり、運用を前提とした預貯金構成とします。Aさんはローンを抱えている分、出来るだけ繰上げ返済をして早く住宅ローンを返したいという合理的な考え方を持っているとします。
Aさんの場合
・手元資金は年利3%で複利運用
・給与から毎月5万円を貯蓄(円預金の為金利想定せず)
・貯蓄分と住宅ローン控除分は55歳時点で100%繰上げ返済
・繰上げ返済金額(住宅ローン控除分400万円+積立貯蓄分900万円)
・住宅ローン減税額(10年で400万円想定)
・65歳過ぎでローン完済予定
・退職金2000万円
・生涯住み続ける前提なので、マンションの資産価値は考慮せず。
65歳時点での想定預貯金額
(25年分の運用結果)
①:1500万円(元貯蓄)-680万円(購入時頭金・諸経費)=820万円
②:①*3%複利(25年間)=1716万円
③:5万円/月(繰上げ返済後10年分の貯蓄)*3%/年利(複利・10年間)=677万円
④:1716万円+③=2,393万円
⑤:④+2000万円(退職金)=4393万円
75歳時点での想定預貯金額
⑤*3%/年利(複利・10年)=5903万円
Bさんの場合
・貯金1500万円(年利3%で運用)
・年収800万円会社員
・賃貸マンション:15万円/月
・退職金2000万円
65歳時点での想定預貯金額
元金1500万円+毎月積立5万円×25年=4767万円(3%複利)+退職金2000万円=6767万円
75歳時点での想定預貯金額
6,767万円*3%複利=9094万円
180万*10年=1,800万円 (65歳から10年間の家賃)
9,094万円-1800万円=7,294万円
※実際には家賃分が元本から毎月減りますので、実質はここまで増えません。
結果
・3%複利運用ができたと仮定すると、65歳時点では2000万円以上の違いが出る。(繰上げ返済分が大きい)
・75歳時点では家賃分ずつ徐々に差額が狭まるため、1300万円ほどの違いとなる。
まとめ
Aさんの繰上げ返済バイアスにより、想定通りBさんの方が手元資金には余裕のある結果となりました。
Aさんが仮に繰上げ返済をしなかった場合においては、Aさんも手元資金に余裕が生まれますが、不確実性の高い運用と確実に利息分を減らせる繰上げ返済を比較すると、繰上げ返済をした方が想定的な運用効率は上がりますので、やはりAさんは繰上げ返済メインとするのが妥当です。
資金的な面で見るとやはり賃貸の方が良い気もしますが、「自分の家を持つ。」という点においてはお金では測れない満足感もあります。
お金だけではなく、自身の価値観をどこにおくか等も検討材料にしながら検討してみましょう。