こんにちは!外資系バンカーのマッケイです。
いきなりですが、皆さん「時価総額」という言葉を知っていますか?

時価総額って会社の規模を表すやつじゃないの?よくニュースで時価総額ランキングってやってるやつ。

よく知っているね。実際は会社の規模というよりは会社の価値を表すもので、結果的にそれが会社の規模として見られてるんだ。

時価総額を知ると何かいいことがあるの?

数字自体は面白く無いけど、過去と今の時価総額ランキングを並べてみると面白いことが見えて来るんだよ。

見たい見たい!

じゃあその前に、時価総額とは何かをしっかり学んでおこう。
時価総額でいったい何がわかるの?
【時価総額の計算方法】
株価×発行済み株式数
時価総額は上記のようなシンプルな計算方式によって求められます。
【A社】(株価)1000円×(発行済み株式数)10000株=(時価総額)1000万円
【B社】(株価)500円×(発行済み株式数)50000株=(時価総額)2500万円
この場合、B社の方が時価総額(会社の規模)としては大きいと見なされます。
上記の図では単純に株価だけを見てしまうとA社の方が高いように見えます。
しかし、実態は株式分割による株式数の増加(株価の希薄化)によって株価が低く抑えられている場合もあります。
したがって、会社の規模感を見る場合には決して株価だけを見るのではなく「時価総額」を見ることも重要なのです。

時価総額で会社の価値がまるっとわかるなんて簡単だね!

実は、そうでもないんだ。実際には会社の価値というものは単に売上や従業員数だけではなく、無形資産(ブランド価値等)も含まれるため、計算方式はとても複雑で正解が無いものなんだ。

じゃあなんで時価総額を使うの?

実際にはそれ以上に分かりやすく会社の価値を横ぐしで見る方法が無いのが現実で、時価総額が最もシンプルだからだよ。
現在(2020年)の国内時価総額ランキングを見てみよう

皆さんもよく知っている名前が出てきますね。
「日本で一番大きな会社は?」と聞くと、多くの人は「トヨタ自動車!」と答えますが、これは時価総額を知らない人も何となく日々のニュースなどで時価総額の概念が刷り込まれている証拠なのです。
トヨタ自動車の時価総額は2位のキーエンスの2倍の規模を誇る圧倒的No.1国内企業なのです。

ところでこの表を見て何か気づくこと無い?

う〜ん、IT企業が多いのかと思ったらそうでもないんだね。あと歴史の古い企業が多い?

その通り。これだけ世界のIT化が進んでいるのにも関わらず、IT分野で時価総額の大きな会社があまりないんだ。それに、創業30年以上の会社も多いことが特徴だね。
アメリカの時価総額ランキングを見てみよう

こちらもいつもよく耳にする会社の名前が多いと思います。
特に、米国時価総額の上位3社である、「マイクロソフト」「アップル」「アマゾン」は4位アリババの倍以上の時価総額を誇り、アメリカの有名な株式指数である「S&P500」を牽引するメインプレイヤーです。
この3社が米国株式市場に与える影響はとても大きく、米国株式市場に与える影響が大きいということは、事実上世界の株式市場に与える影響も大きいと言えます。

さっきと同じ質問だけど、この表を見て何か気づくことはある?

う〜ん、なんか最近の会社が多いような気がする。それに、最近よく聞くIT企業ばかり。

よくわかったね。この30年でIT技術の立役者になった会社がほとんどなんだ。もちろん会社自体も日本と比べて若い会社が多く、50年以上前からあるトヨタ自動車が今でも時価総額ランキング1位の日本と比べて、経済の新陳代謝が激しい国でもあるんだね。

世界の時価総額を比較してみよう
それでは世界の時価総額ランキングを様々な側面から推移をみてみましょう。
世界の時価総額と米国日本の占める割合

現在の世界の時価総額は86兆ドル(約9400兆円)と言われていて、そのうちの4割の35兆ドル(3800兆円)が米国市場なのです。
現在の株式マーケットで世界に投資をするということは、実質半分弱は米国に投資をしていることになります。
その中でも大きな割合を占める「マイクロソフト」「アップル」「アマゾン」の存在がいかに大きいかは世界の時価総額から見てもわかります。
世界の時価総額:約9400兆円
米国の時価総額:約3800兆円(世界の時価総額の約40%)
日本の時価総額:約629兆円(世界の時価総額の約6%)
GAFAの時価総額:約430兆円(日本の時価総額の68%)※GAFA=Google,apple, facebook, amazonの略

え!?GAFAの4社だけで日本の時価総額とそこまで変わらないよ!

そうなんだ。米国IT企業が株式市場を独占しているかがよくわかるよね。遠くない未来日本の時価総額をGAFAが超えるとも言われているよ。

日本ってとても大きい国だと思ってたんだけど、株式市場の立ち位置は大きくないのね。

この30年でメインプレイヤーがだいぶ変わってしまったんだ。30年前の日本は今の米国と同じくらいの割合の時価総額だったんだよ。

日本は衰退してしまったのね。。。

30年前の世界時価総額ランキングと現在を比べてみよう

※上記米国時価総額データと既出米国時価総額データは取得日が異なるため一部ランキングや時価総額が異なります。
平成元年(約30年前)の世界時価総額ランキングでは、世界時価総額ランキングの TOP10のうち日本企業が7社もランクインしていました。
そのうちの5社は銀行であり、当時の金融立国っぷりがうかがえます。
しかし、30年後の現在はどうでしょうか。
TOP10に入っている日本企業はなく、国内時価総額ランク1位のトヨタ自動車ですら世界では第43位なのです。(2020年現在)

このランキングを見てどう思う?

TOP10のうち、7社が米国企業であること、そのうちの5社はIT関連であることが30年前の時価総額の「上位7社が日本、そのうち5社が銀行」の構図とまったく一緒だわ。

他には気付くことある?

それに、時価総額の規模がパッと見て10倍くらい違う。

よくわかったね。時価総額規模がこの30年それくらい大きくなっているということは、世界の経済規模自体がこの30年とても大きくなっているんだ。
まとめ
この30年で世界の経済規模や時価総額ランキング、株式市場のメインプレイヤーは大きく変貌を遂げました。
現在は米国株投資が主流になっていますが、それはこの30年のメインプレイヤーが米国であっただけの話で、今後30年後を見るとプレイヤーはまた大きく変わっている可能性が高いことがわかりました。
【30年後の時価総額予測キーワード】
(30年前)TOP10には「日本企業7社」「うち銀行5社」
↓
(現在)TOP10には「米国企業7社」「うちIT 5社」
↓
(30年後)TOP10には「??企業7社」「うち?? 5社」

30年前もアメリカは十分大きな国だったし、新興国という感じではなかったわ。とすると「今もそれなりに大きい国で「日本、アメリカ以外で経済大国になるポテンシャルのある国。。

中国!?

可能性はあるかもね!
このように過去から現在を紐解き、将来を予測することが長期資産運用には非常に重要になります。 ぜひ様々な側面から世界を俯瞰的に見ていきましょう。
