最近は数多くのスタートアップ企業が各業界へ革新を巻き起こしており、そのおかげで我々の生活も大きく変わりました。そこでそのようなフィンテック分野(IT×金融)の分野の中でも現在もっとも勢いのある投資分野、ロボアドバイザーについて考察してみます。
投資一任型ロボアドバイザーとは
2015年ほどから徐々に流行りだした独自のアルゴリズムに基づいて投資サービスを提供するシステムのことであり、ユーザーが年齢や年収、リスク許容度(リスクをどれくらい受け入れられか)、運用意向等を入力することで投資意向に基づいて、ポートフォリオの作成、リバランス、などの自動運用を行ってくれるというものです。
つまり、今までは膨大な投資信託や株式銘柄の中から自分で運用先をピックアップして、さらにマーケットを勘案しながら何を売却して何を購入するのかとか、割合どうするのかとかを決めていかないと長期投資に必要なポートフォリオを構築することができなかったんです。
ポートフォリオ構築が好きで時間のある方なら良いけど、一般の方がそれを生涯やり続けて結果を出すって以外と難しいんですね。「経済ショックで絶賛含み損中、それ以降見てません。」なんていう方も多い。
一定の手数料(つまり運用コストでロボアド会社の収益の源泉)を払えば、そのような面倒くさい作業を全部するからあとは放置で大丈夫!というのが投資一任型ロボアドバイザーです。
アドバイス型ロボアドバイザーとは
アドバイス型ロボアドバイザーとは、投資一任型と異なり最初のアドバイスの部分のみに徹し、実際の購入は紹介されたファンドを自分で買い付ける形のものです。銀行系証券会社等が独自に出しているものも多く、アドバイスした結果を自社取り扱いのファンドシリーズに落とし込むパターンが多いです。
端的には、「質問にしたがって回答すれば、取り扱っている投資信託の範囲内で銘柄を紹介して、運用割合まで教えてあげますよ。後は任せます。」というシンプルサービス。私には投資信託を買ってもらうための単なるツールのようにしか見えませんが。買い付け後のリバランス等は全て本人で行なわなければいけない反面、NISAが利用できたりするメリットはあります。
基本的には自分で運用したいけれども、最初だけどんな感じの運用になるか教えて欲しいという方には向いてます。基本無料なので遊んで見てもいいのではないでしょうか。
ここでは、投資一任型ロボアドバイザーについて詳しく考察します。
メリットその1. 海外ETFに投資ができる
ここは非常に重要なポイントです。実はロボアドバイザーは「海外ETF」というもので運用されています。
海外ETFというのは、海外に上場している投資信託(Exchange Traded Fund)のことで、低コストで国際分散投資や幅広い資産分散へのアクセスが可能になります。
つまり、様々な海外ETF複数銘柄組み入れてマーケットや投資意向に応じて最適な運用をしてくれるということです。
この海外ETFでの運用というのが、今までは個人の投資デビュー組には非常にハードルが高かったんです。
通貨が円ではないので外貨にして買い付けしなければいけなかったり、銘柄数が膨大すぎて何が良いのかよくわからなかったり、そもそもあまり情報がなかったり。海外物というだけでなんとなく敷居が高く感じてしまう反面、長期資産形成という面においては様々なメリットがありますので海外ETFに簡単にアクセスできるようになったことはとても素晴らしいことです。
メリットその2.長期国際分散投資という投資初心者に優しい運用
やはり資産形成をするに当たり、「長期」「国際」「分散」「積立」の投資キワードは外せません。ロボアドバイザーであれば、このキーワード全てが手軽に手に入るという素晴らしいメリットがあります。(運用手数料を払うだけで)
意外とどんなマーケットでも「長期的に、機械的に、資産を管理しながら運用する。」ことは難しいものなのです。特に知識や経験値が上がれば上がるほどそれが邪魔をするんですね。「もう少し下がったら(上がったら)買おう(売ろう)。」という邪念が入るものです。この「儲けたい」という人間の本質的な心理がステーブルな資産形成を阻害します。
しかし、ロボアドは、このキーワードを無意識のうちに勝手にやってくれるので、お任せである程度のハイパフォ投資家を目指す方には良いかもしれません。
さらには、もれなく国や銘柄、リスクレベルも分散された状態で運用されますから、投資初心者には至れり尽くせりですね。
メリットその1.資産管理のビジュアル化が可能に
ロボアドは上記の運用に特徴を持つだけでなく、「運用管理」面でも非常に役立ちます。運用パフォーマンスや銘柄などが視覚的に把握でき、運用指示変更も容易です。
そして何より、未だかつて味わったことのない「運用やってます感」が味わえます。
お任せではありますが、純粋に投資を楽しめます。グラフ化、カテゴライズ化された管理画面はとても分かりやすい設計になっていてオススメです。
デメリットその1.元本割れリスク
貯蓄ではないので増える可能性がある一方で、もちろん資産が減る可能性もあります。ここの許容はロボアドにかかわらず全ての投資にはついて回りますが。しかしながら、投資意向に合わせてリスク度合いの変更はできるのでその点は良いですね。
デメリットその2.手数料
素晴らしい投資サービスである分、手数料はかかります。
ウェルスナビのような投資一任系のサービスであれば、各社多少のばらつきはあるものの、大体預け入れ資産に対して1%前後程度が多い様子です。(預け入れ資産によっても異なりますので、個別サービスの手数料詳細は必ず公式サイトを確認してください。)
問題は、長期運用においてこれが高いかどうかなんですが、一般的には安い部類に入ると思います。前述のメリットが手軽に全て手に入る対価と考えればかなり安いと言えるでしょう。
ただ、一つ言えるのは、運用コスト1%というものは、「ハイパフォ投資家が払える運用コストギリギリのライン。」と個人的には考えています。
ちなみに、手数料というものは「利益に対して」ではないですよ。あくまでも「預け入れ資産に対して」です。したがって損をしていても手数料はしっかりかかります。
デメリットその3. NISAの取り扱いがない
投資一任型ロボアドバイザーではNISAを利用できません。したがって、まず初めに積立投資を検討しているのであれば、ロボアドよりも先に積立NISAで運用したほうが税制の恩恵を受けることができます。さらに資金余力がある場合は、ロボアドを利用する流れが適切だと思います。
(結論)ロボアドはこんな人に向いている!
・とにかく新しいサービスが好き
・運用はしたいが、勉強はしたくない
・忙しくて運用管理なんてしたくない
・感情が邪魔をして、うまくリバランスできない
・「家宝は寝て待て。」という言葉を心情にしている
・投資は積立がもっとも効率的だと思っている
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