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アップスタート(UPST)のビジネスモデルと将来性を分かりやすく解説【信用情報もAIが決める時代?】

2021 3/20
アップスタート(UPST)のビジネスモデルと将来性を分かりやすく解説【信用情報もAIが決める時代?】

こんにちは、外資系バンカーのマッケイです。

突然ですが、マッケイブログを読んで頂いている皆様はお金を借りたことはありますか?

借金は日本では間違ったフィナンシャルエディケーションにより「悪」と捉えられて敬遠されがちですが、実は諸外国では自身の信用を格上げする為の「クレジットヒストリー」と呼ばれるものがあり、借りたお金をしっかり返していくことで信用度が上がっていくシステムがある為、自宅の購入や車の購入以外にも少額のお金を借りては短期間(数日〜数年)で返していくことは日本より一般的に行われています。

それでは、貸し手はどのような情報を元にお金を貸すのでしょうか。

おそらくみなさんが思い描くのは、

  1. 所属企業(会社員or自営業)
  2. 勤務年数
  3. 年収
  4. 過去の返済履歴

等ですよね。

これらの信用情報は今でもコアな信用情報として活用されていますが、これらをベースにした信用情報からお金を貸し出す行為自体は実は30年以上変わっていないのです。

実は、消費者金融事業はとてもレガシーな産業で今の時代に合った貸し方ではありません。

なぜなら、現在は働き方が変わりフリーランスの方が増えたり、終身雇用の時代ではないので勤務年数は短くて当たり前、ずっとニートだったのに何かのはずみで(仮想通貨とか)ひと財産築いた方もいます。

つまり人材の多様化、流動性が今後も増していく中で、単に年収や勤務年数、所属企業の規模のような人的に把握できる情報だけで一人一人の信用情報を構築することはそれ自体がすでにレガシーなのです。

そして、このレガシーな産業を壊しにかかっている企業がアップスタートというアメリカのフィンテック企業です。

目次

アップスタートのビジネスモデルとは

ビジネスモデル

アップスタートは次世代型の消費者金融です。

日本で消費者金融というとあまりイメージが良くないですが、かっこよく言えば個人向けのレンディングサービスです。

アップスタートのビジネスの根幹はAIによるビッグデータ解析から得られる膨大な信用情報から成り立ちます。

従来は「FISCO SCORE」と呼ばれる信用情報をベースに年収や返済履歴等の情報から信用が構築されていきましたが、アップスタートはそれに加え借り手のバックグラウンド(大学名、可視化可能なテストスコア、成績、所属ゼミ、出席日数等)を総合的に判断して信用情報を構築していきます。

双方のメリットとして、

借り手
・資料作成や煩雑な申し込みをなしに圧倒的に早くお金が借りられる
・信用が低くて今まで借りれなかった人も借りることができる(可能性がある)
・利率が従来よりも一般的に低い

貸し手
・今までの信用情報では貸すことのできなかった先に貸すことができる(新規需要の創出)

が挙げられます。

金融産業では貸し倒れリスクが常につきまとう為、貸し出す企業側はものすごく慎重になる為、従来の信用情報だけでは貸し付けの機会損失が大きく、本来ちゃんと返してくれるはずの先にも貸せれていない現実があります。

また、貸し倒れリスク分をプレミアムとしてベース金利に上乗せする為、返済能力の高い人は事実上より多くの金利を払うというジレンマも存在します。(払えない人の利息を払える人が賄うイメージ)

ここをAIの力でアップスタートが解決していくことで、従来借りれなかった潜在顧客もお金を借りることができ、お金を借りる人が増えれば(返済能力がある前提)金利を下げることができ、短期間で少額融資も回転していくことでAPR(実質年利)は上昇して事業自体は儲かる仕組みになっています。

P2Pレンディングなのか?

結構勘違いされやすい点ですが、アップスタートのビジネスモデルはP2Pではありません。

P2Pとは
銀行等の金融機関を通さずに、インターネットを経由して、資金を必要としている個人と資金を提供する個人を結び付ける仕組み。米国や英国を中心に市場規模が拡大している。野村証券HP

野村証券HPより抜粋

P2Pとはあくまでも個人間の貸借りを仲介する役割(プラットフォーマー)として金利を上乗せする形でビジネスが成り立つので、この場合の資金の貸し手は個人になります。

ただ、アップスタートにおける資金の貸し手はバンクパートナーと呼ばれる消費者金融業者や機関投資家なので現状P2Pではありません。

アップスタートは自社の信用情報を担保に業者に送客することでフィーをもらいビジネスが成り立っています。

また、今までの信用情報では貸せれなかった先にも貸し出すことが可能になるのでベースのAPRが良く、ミドルリスクミドルリターンの投資対象にもなり得る為、機関投資家も参入しています。

ビジネスリスク

アップスタートのビジネスリスクはもちろん貸し倒れリスクです。

このビジネスではいかに貸し倒れリスクを低く抑えながら、できるだけ高い金利でギリギリのラインの人にも貸し出せれるかが勝負になります。

アップスタートの場合は、69%の確率でローンの承認を下ろしているのでかなり信用リスクは追っている状態と言えるでしょう。

常に信用情報をアップデートしていきながら、どのようなバックボーンの人がどのようなシチュエーションで返済でき、どのレベルで返済できなくなるのかを高速で回すことで最適解を見つけていきます。

現在のコロナの状況はビジネスリスクを図る上でとても分かりやすい事例です。

・新規失業者が増えることで、貸し出し需要が増すのか
・失業者が増えることで貸し倒れも増えるのではないか

コロナ禍において、アップスタートの平均のクレジットスコアは従来と変わりがなく、業界のベンチマークよりも経済的な苦境も少なかったことが上記のグラフで分かります。

アップスタートの株価と財務状況

それでは財務状況を見ていきましょう。

アップスタートは2020年12月に上場していますが、設立自体は2013で設立以降、特に2017年頃から急速に業績を伸ばしています。

売上は2019年YoYで約170%、2020年YoYで約140%の成長率を見せており、コロナ禍においても融資量も増えており順調に成長しています。

売上構成を見てみると、金利収入はさほど大きくなく手数料収入が全体の収入の97%を占めていることが分かり、自社で貸し出すというよりは業者から受け取るフィーでビジネスが成り立っていることが分かります。

株価についても、直近4Qでサプライズ決算が出たことから一気に40%も株価を上げました。

・売上YoY39%up
・営業利益 196%up
・貸出件数と成約率 57%up

また、自動車小売ソフトのProdigy Software買収もかなり好感されており、米国は中国と並ぶ自動車王国なので自動車ローンにアップスタートのモデルが入れば爆発的な貸出件数やコンバージョンが見込まれます。

まだまだ、上場したばかりの銘柄ではありますが、巨大且つ非常にレガシーな産業に食い込む新鋭のベンチャーとしてかなり伸びしろは大きいと思います。

コロナ禍でも十分な成長が見込まれると判断された為、今回記録的な株価上昇となりましたが引き続き安定且つ高成長な決算が出てくる可能性は大と言えるでしょう。

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