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ペロトンインタラクティブ(PTON)のビジネスモデルと将来性を徹底解説【SaaS+a BOXがアツい!?】

2021 3/16
ペロトンインタラクティブ(PTON)のビジネスモデルと将来性を徹底解説【SaaS+a BOXがアツい!?】

最近は国内でもフィットネスブームで、以前のフィットネス業界といえば健康思考のおじいちゃんおばあちゃんメインで、若者の囲い込みが課題でもあった旧体質業界ですが、今回は次世代のフィットネス業界の雄になる可能性を秘めているペロトンインタラクティブというイケイケ企業を紹介します。

まずは、ペロトンインタラクティブの概要をまとめてみると、

・アフターコロナで自宅で気軽に行えるオンラインフィットネスが脚光を浴びている
・SaaS+a BOXで株価は1年で1.5倍に成長しており、物販とサブスクの両輪を回せるビジネスモデルを有する
・グロース銘柄の中ではPSRは7倍(2021/3時点)割高とはいえず顧客エンゲージメントも高い為長期的な成長が見込まれる
・コロナ禍利用者数は1年で約3倍にまで成長しており、今後もこの成長率をどこまで維持できるかで株価が決まる

目次

ペロトンインタラクティブとは

ペロトンインタラクティブは自宅でのオンラインフィットネスに特化したサブスクリプション型フィットネスサービスを提供している会社です。

ユーザーは、2495ドルのPELOTON BIKE(エアロバイク)や4295ドルのPELOTON TREDS(ランニングマシン)を購入し、バイクに付属する画面を見ながらお気に入りのインストラクターが主催するフィットネスクラスを月額39ドルで受け放題です。

オンラインフィットネス流行の背景

ペロトンのような自宅でのオンラインフィットネスが流行りだしたのはコロナの影響はもちろんありますが、根底のなるのはアメリカ人の生活様態の変化があります。

現在アメリカでは子供を持つ世代の約60%は共働きと言われており、数十年前と比べて格段に忙しくなっています。

また、インフレによって物価は上昇しており、娯楽費に該当する一人あたり月額1000ドル前後のフィットネスクラブ費用は家計にとって大きな負担になり、そもそも可処分時間が失われている為一度加入しても長く続かないというデメリットも発生します。

そのような生活様態の変化に追い打ちをかけたのがコロナによるニューノーマルです。

自宅待機を余儀なくされることでフィットネスクラブにも行けない環境が続く中、自宅で手軽に体を動かせるというオンラインフィットネスはまさにニューノーマルな健康生活の一つとして2020年に加速度的に浸透して行きました。

なぜペロトンが受け入れられるのか

ここで多くの方は、「自宅でのフィットネスなんて、昔からあったのではないか。」と思うことでしょう。

エアロバイクやランニングマシン単体で見れば決して革新的とはいえません。

今までに歴史は繰り返されるがごとく、エアロバイクやランニングマシンは形を変えて栄枯盛衰を繰り返してきました。

このような数十万円もするエアロバイクやランニングマシンを購入したのにもかかわらず、1年以上使い続けたユーザーはどれほどいるでしょうか。

マッケイ自身も今や部屋の片隅でオブジェ化しているエアロバイクを保有しているほどです。

そこで、ペロトンは今までにはない強力な顧客エンゲージメントによりユーザーを飽きさせない仕組みを構築しています。

  1. ユーザー参加型フィットネスクラス
  2. クリエイティブで臨場感溢れるライブ映像
  3. ユーザー同士のオフラインコミュニティを形成
  4. インストラクターのインフルエンサー化

ペロトンはフィットネス機器の販売はあくまでもデジタルコンテンツ提供の為のツールであり、ビジネスモデルとしていかにコンテンツを利用してもらうかがLTVに直結します。

自宅でフィットネスをすることのモチベーション維持という慢性課題に対して、ユーザー参加型は直接的なアプローチをとっています。

受講中に画面で速度や距離、消費カロリーを見ることができ、さらにそれはその他のユーザーとランク形式で表示されることで競争心を煽るようなゲーム性の高いコンテンツになっています。

また、コンテンツはライブ感が強く自宅にいながらも孤独を感じさせないクリエイティブなコンテンツでユーザーを飽きさせません。

オフラインのクラスと同様に決まった時間にしか開催されないクラスもあり、「いつでも見られるから、今度にしよう。」という言い訳が効かない状況を作り上げています。

極めつけは所属インストラクターは皆とてもカッコよく、インストラクターというよりはむしろフィットネスインフルエンサーと言っても過言ではありません。

コンテンツと同時にインストラクターに多くのファンが醸成されることもまたユーザーのモチベーションを高く維持させる大きな要素なのです。

もちろんペロトンの解約率は月間0.8%ととても低く、うまくエンゲージメントが機能していると言えるでしょう。

ペロトンのビジネスモデル

ペロトンのビジネスモデルはSaaS+a BOXというビジネスモデルです。

SaaS+a BOXとは
ハードウェア(物販)とそれを利用する為のサービス(サブスクリプション)を組み合わせたビジネスモデル。

Saas+ a BOXのビジネスモデルはiphoneや以前に記事で紹介したROKUに代表されるモデルです。

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ハードウェアがベースとなっているもののビジネスモデルとして実際に重要なのはサブスクリプション収益で、ストック収益とフロー収益のバランスの取れた高収益体制を構築することが可能なビジネスモデルです。

ただ、一般的なSaaSビジネスと比べると、在庫リスクが高まる点や粗利益は下がる傾向にあります。

ペロトンも同じくSaaS+a BOXの代表であり、2495ドルのPELOTON BIKEや4295ドルのPELOTON TREDSを購入するところから基本的なサービスは始まります。(もちろんコンテンツのみの視聴も可です。)

ハードの金額もそれなりに高いため、最初の購入ハードルをとにかく下げるべく分割手数料は無料で配送も自社で行い、配送時にはインストラクターのようなクールな配達員が懇切丁寧に利用方法の指導を行ってくれるなどの徹底ぶりです。もちろんトライアル期間も付いています。

SaaS+a BOXモデルでは通常のSaaSと比べて初期購入のハードルが高いため、この心理的ハードルをいかに下げるかがビジネスの根幹でありこれを可能にするユーザーファーストな先行投資もまたペロトンが受け入れられる一つの要因なのです。

ペロトンの成長性と株価

(2021年Q2時点)
・167万のサブスクリプションを保有しており、YoYで137%の成長率
・月間解約率は0.8%以下・クウォーター売上が10億ドルを突破し、YoYで228%の成長率
・クウォーターワークアウト数がYoYで400%の成長
・サブスクリプション当たりの月間ワークアウト数21.1回

コロナによる追い風もあり、2020-2021は大きく成長していることが見て取れます。

特に、月額課金のコンテンツにおいては、ワークアウト総数がQ2だけでも1000万に迫る勢いで伸びており、月間平均のワークアウト数も168%伸びていること勘案すると、新規ユーザー獲得はもちろんのこと豊富なコンテンツによりユーザーとのエンゲージメントがしっかり図られていることを示しており、結果的に解約率も低くなっています。

特にサブスクリプション当たりのワークアウト数はLTVに直結するためここが下落してくるとまずいかなという印象ですが現在のところその兆候は全く見られません。

業績的には、売上が2017年以降倍々で推移しており、粗利益率は45%前後を保っています。

SaaS+a BOXのモデルのペロトンは製品開発コストやコンテンツ制作、インストラクター費用等がかかるためまずまずの粗利益率と言えるでしょう。

ただ、成長すればするほどサブスクリプション課金が売上に対してかなり効いてくるので中長期的にはさらに効率の良い売上構成になっている可能性は十分あります。

また、株価についてはYoYで5倍の成長を見せており、コロナ関連銘柄の代表格として2020-2021で大きな上昇を見せています。

直近では急激な金利上昇によりグロース銘柄が総崩れしたためペロトンも同じく下落しておりますが、PSRは7倍程度と決して割高感のある銘柄ではありません。

ZMFVRRのようなSaaSとは異なりサブスクリプション売上の割合が少ないのでこの部分を勘案すると妥当or若干割高?のレベルです。

次のステージでサブスクリプション割合が増えることで株価にも反映される可能性が高いのでPSR7倍程度であれば仕込んでおいても良さそうですね。

日本にあればユーザーとして利用してみたいサービスでした!

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