MENU

積立NISAを利用している人は実は少ない?データーで見るNISAの現状

2020 6/09
積立NISAを利用している人は実は少ない?データーで見るNISAの現状
2014年に一般NISAがスタートし、早くも6年が経過しました。
 
当初は仕組みが少々複雑に見えたこともああり、本来の趣旨は非投資家層を囲い込むためのものでありましたが、「既存の投資家しか利用していないのではないか。」「デメリットの方が多そう。」等様々な意見が出ました。
 
その後は若年層向けに積立NISAもスタートし、長期投資における投資環境は、税制や運用投資信託のコスト面からも数年前と比べて劇的に良くなっていると言えます。
 
そして今回は、6年が経過した今これからNISAを始めようと思っている方や、すでに取り組んでいる方のために国内NISA現状がどのようになっているのかを各種データーを元にまとめてみました。
 
目次

現在のNISA状況ってどうなってるの?

 

【引用元】NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査 (2019 年 12 月末時点(速報値)より作成
 
「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査 (2019 年 12 月末時点(速報値)」によると、口座数は一般NISAが1,176万口座となっており、積立NISAが188万口座となっております。
 
一般NISAは積立NISAともに年齢は20歳以上からとなっており年齢上限はありませんが、積立NISAは性格上60歳までと区切ってみます。
 
 
国民あたりのNISA口座保有割合
 
一般NISA:適用対象人口あたり約8人に1人保有(約12.0%) 
※適用対象人口約9,800万人
 
積立NISA:適用対象人口あたり約36人に1人保有(約2.8%) 
※適用対象人口約6,800万人
 
 
一般NISAはある程度浸透しているイメージですが、積立NISAがかなり伸び悩んでいる様子です。積立NISAのメイン層が20代〜40代だとすると人口は約4622万人となり、それでも適用対象人口の4%程です。
 
若年層がNISA口座を保有せずに、株式や投資信託及びETFなどにフルコミットしている方は相応に少ないはずなので、投資アクティブ層である50代以上がNISA口座のメイン層であり、まだまだ若年層(特に20代、30代)で積極的に資産運用をしている人は稀有な存在であると言えます。

NISAがきっかけで資産運用を始めた人ってどれくらい?

 

【出所】日本証券業協会 NISA口座開設・利用状況調査結果 (2019年12月31日現在)より抜粋
 
 
若年層の投資割合が少ないと見える一方で、一般NISAや積立NISAがきっかけで投資を始めた(興味を持った)方の割合は増えている判断でき、資産運用の活性化という意味においてはNISAは一定の役割を果たしていると言えます。
 
NISA口座保有者数に対する投資未経験者の割合
 
一般口座:約2.6人に1人が投資未経験で口座保有
 
積立口座:約1.4人に1人が投資未経験で口座保有
 
一般NISAと積立口座の大きな違いは、「期間」「金額」「投資対象範囲」です。
 
積立NISA口座の方が圧倒的に投資未経験者の割合が多いことを踏まえると、未経験者層にとっては、「長期」「少額」「投資信託」の方が初動としては入りやすいということでしょう。
 
ここは、我々の感覚と大きく乖離していなさそうです。
 
また、年を追うごとに投資未経験者層の割合が増えており、特筆すべきは、積立NISA口座の投資未経験者層の割合が、施行当初より約25%上昇しております。
 
同期、一般NISAの上昇幅が5.9%に留まっている点と比べると5倍ほど伸びており、若年層の新規投資家層も積立NISAによって一定数拡大したと言えます。

どの年代が主にNISA口座を持っているの?

 

【出所】日本証券業協会 NISA口座開設・利用状況調査結果 (2019年12月31日現在)より抜粋
 
上記グラフによると、一般NISA口座の半数以上が50代〜70代で占められており、特徴として年代が上がれば上がる程口座保有割合が上昇しています。
 
人口別には、50代が1,582万人、60代が1,743万人、70代が1,467万人(※総務省統計局・人口推計より)なので、70歳が比較的アクティブ保有していることがわかります。
 
積立NISAのメインプレイヤーは想像通り30代〜40代となっており全体の半数以上を占めております。気になる点は、20代と30代との乖離がとても大きく、20代は30代の約半数の割合となっています。
 
要因として、定性的には「老後」「将来」「お金」という考えにまだ及んでいないという点が挙げられまが、定量的には「国税庁・民間給与実態統計調査(平成30年分)」によると、30代前半の平均給与が410万円であるのに対して、20代前半は267万円と大きく乖離しているため、20代前半の余剰資金が少ないことも一因になっているのではないかと考えられます。

一般NISAの残高ってどれくらい?

 

【出所】日本証券業協会 NISA口座開設・利用状況調査結果 (2019年12月31日現在)より抜粋
 
想定通り、年代が上がるにつれて運用残高も上昇しています。
 
ここでも20代と30代の運用格差がはっきり現れており、20代の運用残高は30代の運用残高と比較し約1/4程という水準になっています。
 
「国民生活基礎調査・各種世帯の所得等の状況(厚生労働省)」によると、20代の平均貯蓄額は154.8万円で30代で404万円、70代平均貯蓄額が1,263万円なので貯蓄額の上昇にほぼ一致して運用資産額も年代別に増えています。
 
商品別には、半数以上が上場株式での運用となっており、積立NISAとの住み分けが一定数できていることも確認できます。
 

積立NISAの残高ってどれくらい?

 

【出所】日本証券業協会 NISA口座開設・利用状況調査結果 (2019年12月31日現在)より抜粋
 
 
20〜40代メインプレイヤーの1口座あたりの平均残高を紐解いて行くと、
 
 
年代別推計口座数から見る運用額
 
20代:32.7万口座 ⇨ 57,492円
30代:58.0万口座 ⇨ 96,551円
40代:49.4万口座 ⇨ 111,133円
 
 
実際には相当数の休眠口座(開設されているだけで稼働していない口座)があるので、稼働口座の中での運用資産額はさらに大きく伸びると思います。
 
現実的には、新規口座開設数の伸び以上に既保有口座のアクティブ率の方が重要であると考えており、いくら口座開設が増えても稼働していなければNISA投資の発展には全く寄与しないので引き続き稼働率にも注視していく必要がありそうです。

まとめ

 
総じて、NISAは国内証券市場において一定の効果が出てきることが読み取れ、特に積立NISA口座からの投資未経験者の獲得という意味においては大きな市場発展に繋がっています。
 
しかしながら、年代別人口割合に比べると、証券投資のメインプレイヤーは60代70代と隔たっているため、若年層(特に20代)の所得水準の上昇や積立NISAのさらなる推進を進めるべきであるでしょう。
 
特に20代30代の方はしっかりと将来に目を向け、過度に悲観的になるのではなく今、自分にできることをしっかりと考えた上で、政府が推進する有効施策は積極的に活用して行くことが求められます。
 

合わせて読みたい記事

目次
閉じる