当ブログでも度々登場するソーシャルレンディング市場が銀行預金に変わる運用手段として急成長しています。
その中でも特に人気なのが「不動産ソーシャルレンディング」です。
不動産投資には馴染みのある方も多く、日本ではミドルリスクミドルリターン投資として古くから人気のある投資先ですが、まとまった資金や銀行借り入れが必要な為、今まで素人には手が出しづらかった面もあります。
不動産ソーシャルレンディングは少額から不動産の現物に投資ができ、今まで手を出すことのできなかった層まで不動産投資を行うことができるとあって人気が加速しています。
その反面、不動産投資には業界特有の用語が存在し、リスクを理解せずに投資をするシロウト投資家が増えている事実もあります。
そこで、今回は不動産ソーシャルレンディングを活用する為には必須の不動産用語をわかりやすく説明します。
目次
不動産投資における2種類の資金調達方法
貸付型とは
企業(事業会社やファンド)が不動産を購入する場合には、個人が自宅を購入する際に住宅ローンを借りるのと同じく資金を銀行等から調達するのが一般的です。
特に不動産投資の場合は仮に手元資金があったとしても敢えて資金調達をすることで、少額の手元資金で大きな運用ができるので(レバレッジと言います。)、企業は積極的に借り入れを行います。
そして、企業が借り入れをした場合には「負債」として、最終的には借り入れ金利と元本の返済義務が生じます。不動産を担保することで企業が借り入れる資金に対して出資をする形式のものを「貸付型」と言います。
エクイティ型とは
企業は自己資本による資金調達を行う場合もあります。
自己資本には、自社の手元資金を繰り入れる他、投資家から調達した資金も自己資金に入ります。
この自己資本のことをエクイティと呼び、この形式の案件に出資をする形式を「エクイティ型」と呼びます。
自己資本による資金調達は返済義務がない為、売却時の不動産価格に影響され安く貸付型と比べて価格変動が大きいのが特徴です。

ミク
不動産ソーシャルレンディングの案件は貸付型が多いですよね。
中にはエクイティ型も存在し、案件詳細をしっかり読まないとパッと見ただけではわからないから注意しよう。

マッケイ
貸付型の資金調達方法を知ろう
貸付型には大きく分けて2種類の資金調達方法があり、この2つの資金調達方法は表面上は似ているものの金利や元本の保全性が異なるためしっかりとした理解が必要です。
シニアローンとは
従来からある銀行からの資金調達です。
返済が滞った場合には担保や保証で優先的に弁済がなされる為、貸し手は元本の保全性が高く保った貸し付けができる点がメリットになります。
借り手側は、比較的安い金利で資金調達をすることができ資金調達のベースになるのがこのシニアローンですが、資金調達に時間がかかったり審査の結果次第では資金調達ができない場合もある点がデメリットです。
メザニンローンとは
メザニンローンは「中二階」という意味です。
貸し手にとってはシニアローンと比べて高い金利で貸し付けできる点がメリットです。
一方で元本の保全性はシニアローンと比べて低く、返済が滞った場合には弁済順位がシニアローンに劣後する特徴があります。
そのような事象が起こった場合には、残余金はまずシニアローンの弁済に回り、それでも残余金が余った場合にはメザニンローンの返済に当てることになるので、高金利である反面リスクは高くなります。

ミク
企業はなぜメザニンローンを借りるんですか?
例えば建設中に資金が追加で必要になった場合や、シニアローンで希望通りの借り入れができなかった場合によりスピーディーにお金を借りる手段としてメザニンローンを活用するケースが多いよ。

マッケイ
ポイント
メザニンローン案件へ出資する際は、担保分析が重要になります。
検討している案件が担保評価内に収まっているかどうかを確認しましょう。
不動産担保評価額からシニアローン等の上位ローンを引いた際に案件募集額を下回っている場合は、元本が割ってしまうリスクがあります。
優先劣後方式とは
優先劣後方式は多くの不動産クラウドファンディング事業者が採用している残余金の返還方式で、不動産を売却した際に償還金を一定の水準(20%など)まで事業者が負担する方式です。
例えば、1億円の物件を8000万円で売却した際には損失は事業者が被るので、出資者に損失は発生しません。
7000万円で売却された際には出資者は1000万円分の損失を被ります。
一定水準まで損失が担保されているため出資者はより安心して出資することができる方式です。
エクイティ型の運用スキームを知ろう
貸付型は、出資者が出資した資金をソーシャルレンディング事業者が不動産を担保にとることで貸し付け、その配当を出資者に還元します。
対してエクイティ型の運用スキームは少々複雑です。
エクイティ型では、出資者から集めた資金をSPC(特別目的会社)という会社を経由して信託受益権を購入します。
出資者はSPCを通じて得られる家賃収入や信託受益権を売却した際の売却益を配当という形で受け取ります。
こここでは、エクイティ型で頻繁に出てくる「SPC」や「信託受益権」という言葉について触れていきます。
信託受益権とは
信託受益権は、不動産を信託銀行等に預けた際に配当などを受け取る権利のことを指します。
不動産の実物を売買することは、言い換えるとその所有権を売買することになります。
実物資産である不動産所有権は複数に分割することが難しくとても手間であるので、「信託受益権」という所有権の代わりになる権利にしてしまうことで、分割したり取引をする手間をシンプルにできるメリットがあります。
これを「不動産の証券化」と言います。
信託受益権は不動産そのものの売買をではなく、あくまでも「権利」の売買になるため、不動産取得税がかからない等取引コストが安く済むメリットもあります。
SPC(特別目的会社)とは
「Special(特別) Purpose(目的) Company(会社)」の頭文字をとってSPCと言います。SPCは不動産の売買のみのために作られる、いわばペーパーカンパニーです。

ミク
なぜわざわざSPCを作る必要があるの?
SPCを作るメリットは、様々あるから説明していこう!

マッケイ
企業がSPCを作るメリットの一つに資金調達のしやすさがあります。
仮に母体の企業の財務が悪ければ本来の不動産取引とは関係ないところで資金調達が不利になってしまう可能性があります。
SPCを作ることでそのような不動産取引とは関係ない信用リスクを排除し、純粋に不動産の評価のみの信用力で資金調達を行うことができます。
また、SPCに出資金を分別管理することで、母体企業が倒産してしまった場合においても不動産取引における資金を保全することが可能になります。
企業財務と不動産本来の評価を分けることがSPCを作る大きな目的の一つで、このことを「オフバランス化」と言うよ。

マッケイ
各取引のリスク度合いを知ろう
不動産取引におけるリスク度合い
シニアローン>>>メザニンローン>>>>エクイティ型
シニアローン
基本的に借り入れ総額が担保評価額を超えることがないので元本保全性が最も高く、リスクリターンが最も低い案件。利回りは他の案件と比べて低め。
メザニンローン
借り入れ総額が担保評価を超えていない場合においては元本保全性が高いが、超えてしまっている場合に、返済不能に陥った場合には元本の保全性は低い。シニアローンと比べ利回りは高めに設定されている場合が多い。
エクイティ型
売却時の不動産価格に影響される。購入時の不動産価格を売却価格が下回った場合には元本割れを起こす可能性が高い。逆に、売却価格が上回った場合には売却益としてプラスのリターンを得ることができる。
オススメ不動産クラウドファンディング事業者3選
CREAL
投資対象物件の透明性が非常に高いことで有名です。優先劣後方式を採用していて安全性が比較的高い点が特徴です。
FANTAS funding
優先劣後方式を採用している事業者です。特に、空き家対策物件など他の事業者とは一風変わった投資先を保有している点が特徴です。
Owners book
運営企業はロードスターキャピタルという東証マザーズ上場企業で事業者の透明性が高いです。シニアローンからエクイティ型まで幅広い案件を保有してる点が特徴です。