こんにちはっ!外資系バンカーのマッケイです。
今回は、CoCo債という一般の投資家には少々マイナー、、と言うかあまり馴染みの無い債券について説明します。
なぜ取り上げるかというと、外資系バンカーをやっていると結構質問が多いのが、
お金持ちには普通では出回らないような運用商品があるんですか?
富裕層ってそもそもどういう運用してるんですか?
って質問が多いからなんです。


ちなみにこの場合の富裕層というのは、ざっくり資産10億円〜くらいのイメージです。
もちろんある程度有利な運用商品も多少ありますが、条件的には一般投資家と比べてそこまで有利な運用をしているわけではありません。
ただ、良くも悪くも(?)その中で、富裕層に結構好まれているのがCoCo債という債券です。
決して条件の良い債券とは言い難いですが、中身を理解した上でなぜ富裕層に好まれるのかをしっかり理解して、運用に役立てていきましょう!
CoCo債とは
ちょっと可愛らしいネーミングのCoCo債ですが、正式名称は「Contingent Convertible Bonds」の略称で、日本語では偶発転換社債と呼びます。
CoCo債はハイブリッド証券の一種で、発行体(金融機関)の自己資本比率が低下すると強制的に株式で戻ってくる性格を合わせ持ちます。

ハイブリッド証券ってなに?

ハイブリッド証券っていうのは、株式と債券の性格を合わせもつ証券のことだよ。 CoCo債の他にも劣後債や優先証券などがあって、企業の経営状態が悪くなった場合に利息や配当の支払いを伸ばしたり、元本返済の弁済順位を遅くしたりできる条項が組み込まれているんだ。

そんなのにメリットがあるの?

投資家に不利な条項がついている分、通常利回りが高く設定されているんだ。つまり、企業の財務体質が低下しなければ通常では受け取ることのできないような金利を得られるんだ。

CoCo債は金融機関の自己資本比率が低下すると株式として戻ってきてしまうリスクを取る代わりに、通常よりも高利回りで運用ができると言うメリットを覚えておきましょう。つまり、株式で戻ってきてしまう可能性が低い割に高利回りなので好まれる傾向にあります。
金融機関はなぜCoCo債を発行するのか
国際的な銀行は2007年の金融危機以降、より強固な財務体質を求められ「バーゼル3」という厳しい自己資本規制が課されました。
通常債券はあくまでも「負債」に相当するため、自己資本とはみなされません。(自己資本の代表格は株式)
ただ、基本的には債券の性格を持ちながら財務体質が低下すれば条項として発行体の都合で株式にできることを織り込んでいるCoCo債は銀行にとって自己資本とみなされるわけです。
CoCo債のメリット・デメリット
それではなぜ富裕層はCoCo債を好み、またバンカーも積極的に紹介するのでしょうか。
富裕層の投資心理と、それに対するCoCo債のメリットデメリットをまとめて見ました。
【富裕層の心理まとめ】
・中長期的に固定で高金利を受け取りたい。
・資産を大きく増やそうとは考えていない。
・まとまったロット(数千万〜億)で運用したい。
富裕層は大きく資産を増やそうとは思っておらず、基本的に価格変動リスクを嫌います。
なので、基本的に投資信託などは好まず、債券を好む傾向にあります。
ただ、現在のように債券価格が高止まりし、通常の債券運用で利回りが大きく低下した状態では富裕層の求めるリターンに及びません。
そこで、価格変動リスク以外の信用リスクを取ることで富裕層の求める期待リターンを債券で生み出せるというのが CoCo債を含むハイブリッド証券です。
その中でもCoCo債は経済危機やよほどの財務体質の悪化が露呈されなければ、基本的には元本が戻る可能性が高いので通常よりも高金利で運用することができるわけです。

トリガーしてしまう確率が低いなら、 CoCo債の方がいいよね!だってリーマンショックなんて100年の1度と言われてるくらいなんだから。

確かに平常時では問題ないけど、高金利で運用できることが分かると結局やり続けてしまうんだ。もちろんやり続ければどこかで不測の事態になる可能性も高くなり、その1度の事態の時には一気に元本を失ってしまうから、ハイリスクであると言えるよ。

現実的には債券でしか運用しないと決めている富裕層も多いため、CoCo債は債券好きの富裕層の行き着く最終ゴールとも言えます。債券で高金利を求める富裕層心理を知っているバンカーは積極的にCoCo債等のハイブリッド証券を提案するわけですね。
CoCo債は富裕層しか買えない?
CoCo債は一般投資家には馴染みのない債券ですが、金額次第では購入可能です。
特に、普通社債(国債)の利回りが低い状況下では代替手段として金融機関も積極的に紹介するケースが多いです。
ただ、額面数千万単位になることが多いため金額的に難しい場合が多いでしょう。
そこで、どうしてもCoCo債をポートフォリオの一部に組み込みたい場合は、CoCo債で運用している投資信託もありますので紹介します。グローバルCoCo債ファンド日興アセットマネジメントが設定しているグローバルCoCo債ファンドを購入することで、少額(積立可)からCoCo債の運用ができます。
パフォーマンスを見てみましょう。


思ってたより運用が安定しているイメージだわ。

そうなんだ。CoCo債は平時のパフォーマンスは比較的安定しているんだ。トリガーが発動される際の損失は大きいけど、発動される可能性としては高くないのが現実だよ。そこが富裕層に好まれる最大の理由なんだ。
投資信託であればCoCo債の銘柄を分散しながら運用が可能なので、ポートフォリオの一部として保有して見るのも良いかもしれません。
ちなみに、グローバルCoCo債ファンドは、マッケイ一押しの証券会社、楽天証券で取り扱っています。もちろん口座開設は無料です!
