株式型クラウドファンディングが今年に入り急速に伸びていて、取り扱い事業者も事実上FUNDINNO1社から、CAMPFIRE ANGELやイークラウド、ユニコーン等、後発参入もどしどし増えています。
ただ、現状の案件数やEXIT実績等を考慮するととりあえずのFUNDINNO状態、つまりFUNDINNO一択であることは間違いありません。
ベンチャー投資(未上場株投資)は投資資金と引き換えにその企業の株式(多くは普通株式)を保有することで、企業がM&A(買収)やIPO(上場)した際に大きなリターンを得る投資法ですが、投資資金と引き換えになるものは実は株式だけではありません。
FUNDINNOでは、株式以外の投資方法である新株予約権というものがあります。
今回は新株予約権の一般的な概念と、FUNDINNO投資におけるFUNDINNO型新株予約権について説明します。

新株予約権とは

新株予約権は、発行会社に対して行使することにより当該発行会社の株式の交付を受けることができる権利をいい、一般に、あらかじめ決められた期間(権利行使期間)内にその権利を行使することにより、その会社の株式を一定の価額(転換価額)で取得することができます。
【引用元】FUNDINNO HP
新株予約権とは将来的に株式を受け取るための権利のことを指します。
普通株による投資の場合は出資金と引き換えにその場で株式が付与されますが、新株予約権の場合はあくまでも「権利」に過ぎないので出資段階では株式は付与されないという特徴があります。

私がベンチャー企業で働いていた時、SO(ストックオプション)をもらったけど、それと似てるわ。

その通り!ストックオプションも新株予約権の一種なんだ。
FUNDINNOで新株予約権を利用するメリット

なんで新株予約権なんて難しいやり方で資金調達するの?普通に株を渡したほうが簡単な気がするけど。

株式を第三者に譲渡するという行為は企業にとって最もとても重い決断で、資金調達実務やその後の株主管理等がものすごい大変なんだ。
新株予約権は企業側にとって資金調達をよりスムーズにしたり、その後の管理を簡単にするためなんだ。(もちろんそれだけでは無いけどね。)
企業にとって普通株式ではなく新株予約権で資金調達を行うことで、次回ラウンド以降の資金調達をスムーズに行うことができるメリットがあります。
株式型クラウドファンディングでは、普通株式発行だと数多くの投資家(数百人)が資金調達と同時に一気に参入します。
いきなり投資家の数が増えると、株主の管理はもちろん今後の重要事項の議決にとても大きな影響を及ぼすため、プロの投資家(ベンチャーキャピタル)が次ラウンドでの出資を敬遠する場合もあります。(実際今までこのケースが懸念され、株式型クラウドファンディングによる資金調達が敬遠されていました。)
新株予約権であれば、あくまでも権利を渡しているだけなので、株主が増えず管理面や今後議決面がスムーズに運びやすいのです。
FUNDINNO型新株予約権の特徴とは
それでは、FUNDINNO型新株予約権について説明します。
FUNDINNO型新株予約権のポイントは4つありますのでひとつずつ見ていきましょう。
STEP1. 株式数決定のタイミング
新株予約権という権利が、いつ株式になるのかという話ですね。
FUNDINNO型新株予約権では、次ラウンドで株式発行による1億円以上の資金調達を初めて実施する際に、その時の企業価値に応じて転換価額(株価)や株数が決まります。

出資したタイミングでは発行価額や株式数は決定されず、次回1億円以上の資金調達をした場合に決まるってことね。
STEP2. 交付株式数の決定方法

将来決定する株式数は、投資額×転換価額で決まることを覚えておきましょう。

転換価額ってなにかしら?

転換価額は、将来投資家が受け取る株式数を決める際の基準となる数値だよ。株価そのものでは無いことに注意をしよう。
STEP3. 転換価額の決定方法

転換価額の計算方法は一見とても難しそうに見えますが簡単に説明すると、
最低でも次回の資金調達で投資家が出資する株価よりも20%安く購入できる
ということです。
[A社の具体例]
(a)次回資金調達時株価 400円
(b)転換価額を求める際の評価上限額 10億円
(c)完全希釈化後株式数 500万株
【(a)400円×(1-20%)=320円】>【(b)10億÷(c)500万株=200円】
200円で株式を取得できる。(50%ディスカウント)
続いて実際にどのような場合に株式が交付されるのか、もしくは金銭としてリターンを受け取れるのかを見ていきましょう。
株式交付or金銭受領における4つのシナリオ
ベンチャー投資では、将来的に投資家は次の4つのシナリオに直面します。
①IPO
②M&A
③解散
④存続
尚、FUNDINNO型新株予約権の權利行使期間は7年の決まっており、権利行使を行えるのは、投資先企業においてIPO、M&A、解散が発生しないで、本新株予約権の権利行使期間の7年の最終行使期限日の1カ月前に至った場合になります。
シナリオ① IPO

投資先企業が株式上場した場合には、保有株式をマーケットで売却することで金銭を受領することが可能になります。
IPO後の株価が転換価額を下回ってしまう場合はIPO時にも損失が発生することはありますが、一般的にIPOはベンチャー投資において最高の結果であり未上場時(特にシード〜アーリー時)から新株予約権を保有している投資家は大きなリターンが出る場合がほとんどです。
シナリオ②M&A

投資先企業が他の企業に事業売却する場合において、投資家は新株予約権を売却先企業へ譲渡することで金銭対価を受領することができます。
この場合においても一般的にはリターンが出る場合が多いものの、業績悪化や見通し困難によるネガティブな売却の場合、優先株式がある場合においては、M&A時の算定株価が新株予約権の転換価額を下回り損失が発生する場合があります。
M&Aになったからと言って必ず利益が出るとは限らずあくまでもケースバイケースであることに注意しましょう。
またM&Aによる金銭分配の場合において、FUNDINNO型新株予約権では普通株式よりも優先的に分配金を受け取れる仕組みになっています。
- 優先株・借入
- FUNDINNO型新株予約権
- 普通株式
普通株式よりも分配時の優先度が高い点においては投資家にメリットのあるシステムと言えます。
シナリオ③解散
投資先企業がうまく伸びず、解散に至った場合においても金銭を受領することが可能です。
IPOやM&Aとは異なり、この場合の金銭の受領は残余財産の分配という意味なので損失を被る場合がほとんどです。

残余財産が分配されればまだマシで、多くの場合は残余財産がなく分配されないケースが多いよ。
シナリオ④存続
7年間のうちに上記3つのイベントが発生せずに会社が存続した場合においては、対価は金銭の受領はなく株式で行われます。
ベンチャー企業特有のリスクで流動性リスクがあり、株式を受け取ったとしても売却する相手がいないため、現金化するのは困難な状況になりそのまま株式を保有し続けることになります。
新株予約権のデメリット
新株予約権による投資はあくまでも、權利を買っているため出資時点では株主ではないという点がデメリットになります。
つまり、株主として持つべき当然の權利である、
- 配当・優待
- 議決権
を保有することができません。
ただ、株式型クラウドファンディングの投資家の多くはこのようなものよりも株式売却による金銭的メリットに重きをおいているはずなので、現実的にはそこまで大きなデメリットになりません。
まとめ
FUNDINNO型新株予約権は、
・資金調達はしたいが、株主管理や契約実務に時間を割きたくない企業
・配当や議決権よりも将来的な金銭的メリットに重きをおく投資家
の双方にメリットのある仕組みになっています。
今後、このような形態の出資方法は増えてくると思うので早い段階で理解しておきましょう。

FUNDINNOに投資する上でのメリットデメリットは次の記事を確認しよう。

